失敗・後悔しない家づくりブログ【新築・注文住宅】

家づくりの経験者が「失敗しない新築注文住宅のポイント」や「ハウスメーカーの比較・ランキング」などをまとめているブログです。

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【付加断熱】外断熱と内断熱を併用するメリット・デメリットを解説

がんもっち
付加断熱が気になる人「付加断熱って、内断熱と外断熱を併用した工法っていうけど、実際どうなんだろう…?それぞれの工法の違いや、メリット・デメリットもいまいちわからないので、教えてほしいです…!」

こんなお悩みに答えます。

こんにちは。家づくりを経験した「とある東北人」です。

家を断熱する方法には、

・1. 充填断熱(内断熱)
・2. 外張り断熱(外断熱)
・3. 付加断熱(内断熱+外断熱)

という「3つの工法」があり、最近は「付加断熱」を採用している業者が増えています。

「付加断熱」は「充填断熱(内断熱)と外張り断熱(外断熱)を併用した工法」であり、

・高断熱・高気密の家になる
・内断熱と外断熱のいいとこ取りの工法

などと宣伝されることが多いようです。

しかし、付加断熱にもデメリットはありますし、全ての人にとって付加断熱がおすすめというわけではありません。

断熱工法の選択に失敗しないためには、正しい知識を身につけることが重要です。

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本記事では、断熱工法を選ぶ際に役立つ「充填断熱・外張り断熱・付加断熱の違い」「メリット・デメリット」などについてお伝えしたいと思います。

充填断熱(内断熱)・外張り断熱(外断熱)・付加断熱の違い

博士

まず最初に、

・1. 充填断熱(内断熱)
・2. 外張り断熱(外断熱)
・3. 付加断熱(内断熱+外断熱)

「違い」について、1つずつ説明していきます。

1. 充填断熱(内断熱)とは?

旭化成建材のサイトの充填断熱

出典:旭化成建材

「充填断熱(内断熱)」とは、

構造体(柱や梁など)の間に断熱材を入れる断熱工法

のことをいいます。

最も一般的な断熱工法であり、木造住宅で広く用いられています。

マグ・イゾベールのサイトの充填断熱

出典:マグ・イゾベール

断熱する場所は、

・外壁
・1階の床
・天井(または屋根)

が基本であり、基礎などはそのままです。

※ただし、充填断熱(内断熱)でも基礎を断熱する場合があります。

使用する断熱材には、

・グラスウール
・ロックウール
・ウレタンフォーム
・フェノールフォーム
・セルロースファイバー

など、いろいろな素材の断熱材があり、

・繊維タイプ
・ボードタイプ
・吹き付けタイプ

など、断熱材のタイプもさまざまです。

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2. 外張り断熱(外断熱)とは?

旭化成建材のサイトの外張り断熱

出典:旭化成建材

「外張り断熱(外断熱)」とは、

構造体(柱や梁など)の外側に断熱材を貼り付ける断熱工法

のことをいいます。

この工法は鉄骨造の断熱に有効なのですが、木造でも採用されています。

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マグ・イゾベールのサイトの外張り断熱

出典:マグ・イゾベール

断熱する場所は、

・外壁
・屋根
・基礎

が基本であり、家全体をまるごと覆うような形になります。

※ただし、外壁だけ外張り断熱(外断熱)で、それ以外を充填断熱(内断熱)にするという場合もあります。

使用する断熱材には、

・ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
・押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
・ウレタンフォーム
・フェノールフォーム

など、主に「樹脂系」「ボードタイプ」の断熱材が選ばれます。

断熱材
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3. 付加断熱(内断熱+外断熱)とは?

マグ・イゾベールのサイトの付加断熱

出典:マグ・イゾベール

「付加断熱」とは、

「充填断熱(内断熱)」と「外張り断熱(外断熱)」を両方行う断熱工法

のことをいいます。

付加断熱工法は、寒冷地でより良い断熱性能を得るために、一部の業者の間で行われていました。

しかし、温暖な地域でも「省エネルギー性」「環境への配慮」といったニーズが高まっていることから、最近では様々な業者で採用されています。

なお、

・W断熱
・ダブル断熱
・内外ダブル断熱
・ハイブリッド工法

など、業者によってさまざまな呼び方があるようです。

正確には「内断熱」「外断熱」は「鉄筋コンクリート造」の断熱工法

奈良建設の内断熱と外断熱

出典:奈良建設

これまで、

・充填断熱 = 内断熱
・外張り断熱 = 外断熱

として説明してきましたが、

▼「木造・鉄骨造」の断熱工法
・充填断熱
・外張り断熱

▼「鉄筋コンクリート造」の断熱工法
・内断熱
・外断熱

というのが正確な使い方です。

ただ、木造・鉄骨造でも、

・充填断熱 = 内断熱
・外張り断熱 = 外断熱

という意味で使われることが多いため、実際は問題ありません。

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充填断熱(内断熱)のメリット・デメリット

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「充填断熱(内断熱)のメリット・デメリット」は下記のとおりです。

▼内断熱のメリット
・1. 費用が安い
・2. 断熱材の厚さをとりやすい
・3. 様々な種類の断熱材を使える

▼内断熱のデメリット
・1. ヒートブリッジ(熱橋)が多い
・2. 断熱欠損が起きやすい
・3. 壁内結露が起きやすい
・4. 気密性能を高めにくい
・5. 小屋裏や床下の活用が難しい

1つずつ、説明してきます。

内断熱のメリット1. 費用が安い

1つ目のメリットは、「費用が安い」ということです。

充填断熱(内断熱)では、「樹脂系断熱材」よりも割安な「繊維系断熱材」を使うため、全体の費用は安くなります。

最高の断熱・エコ住宅をつくる方法という本の試算によると、

・充填断熱(内断熱):85万円
・外張り断熱(外断熱):156万円

※40坪程度の住宅で、断熱に必要な部材と作業料のみの試算

となっており、約半分の価格差になっています。

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内断熱のメリット2. 断熱材の厚さをとりやすい

2つ目のメリットは、「断熱材の厚さをとりやすい」ということです。

外張り断熱(外断熱)の断熱材の厚さは「50ミリ程度が限界」といわれています。

一方、充填断熱(内断熱)では、柱や梁の間に断熱材を入れるため、厚さを確保しやすくなります。

※なお、一般的な柱の太さは「105ミリ」や「120ミリ」です。

断熱材
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内断熱のメリット3. 様々な種類の断熱材を使える

3つ目のメリットは、「様々な種類の断熱材を使える」ということです。

外張り断熱(外断熱)では基本的に「樹脂系」「ボードタイプ」の断熱材を使います。

一方、充填断熱(内断熱)で使う断熱材には、

・グラスウール(繊維系)
・ロックウール(繊維系)
・ウレタンフォーム(樹脂系)
・フェノールフォーム(樹脂系)
・セルロースファイバー(自然系)

など、いろいろな素材があり、

・繊維タイプ
・ボードタイプ
・吹き付けタイプ

など、タイプもさまざまです。

※ここから、内断熱のデメリットについて説明していきます。

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内断熱のデメリット1. ヒートブリッジ(熱橋)が多い

1つ目のデメリットは、「ヒートブリッジ(熱橋)が多い」ということです。

「ヒートブリッジ(熱橋)」とは、

建物の内外で柱や梁が熱を伝える現象

のことです。

「熱の橋渡し」をするため、このように呼ばれます。

充填断熱(内断熱)では、断熱材が「構造体(柱や梁など)の間」に入っており、構造体が内壁と外壁に「じかに接している」ため、ヒートブリッジが起きやすくなっています。

ポラリスハウジングのサイトの充填断熱

出典:ポラリス・ハウジングサービス

内断熱のデメリット2. 断熱欠損が起きやすい

2つ目のデメリットは、「断熱欠損が起きやすい」ということです。

「断熱欠損」とは、

断熱材が途切れたりすき間ができること

です。

充填断熱(内断熱)では、

・構造体(柱や梁など)と断熱材の間
・配管や配線と断熱材の間

などで断熱欠損が起きやすくなります。

こうなると、断熱性能は大きく下がってしまいます。

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内断熱のデメリット3. 壁内結露が起きやすい

3つ目のデメリットは、「壁内結露が起きやすい」ということです。

充填断熱(内断熱)は、

・ヒートブリッジ(熱橋)が多い
・断熱欠損が起きやすい

ということに加え、

・繊維系の断熱材は水蒸気を通しやすい

ということから、「壁内結露(=壁の中で起きる結露)」の恐れが多くなります。

そのため、木材の構造体(柱や梁など)が傷んだり腐ったりするリスクが出てきます。

内断熱のデメリット4. 気密性能を高めにくい

4つ目のデメリットは、「気密性能を高めにくい」ということです。

充填断熱(内断熱)は、

・断熱欠損が起きやすい
・気密シートを家全体に張る必要がある
・配管や配線部分などにすき間ができやすい

といったことから、すき間ができやすい工法になっています。

その結果、気密性能を高めにくくなります。

※ただ、業者によっては、充填断熱(内断熱)でも「高い気密性」を出す業者もあります。

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内断熱のデメリット5. 小屋裏や床下の活用が難しい

5つ目のデメリットは、「小屋裏や床下の活用が難しい」ということです。

充填断熱(内断熱)は、基本的に

・外壁
・1階の床
・天井(または屋根)

が基本であり、基礎などはそのままです。

マグ・イゾベールのサイトの充填断熱

出典:マグ・イゾベール

※また、天井断熱の場合は小屋裏は断熱されません。

そのため、小屋裏(=屋根裏)や床下を「居住スペース」「収納スペース」として利用しにくい場合があります。

外張り断熱(外断熱)のメリット・デメリット

ポスターを貼る人

「外張り断熱(外断熱)のメリット・デメリット」は下記のとおりです。

▼外断熱のメリット
・1. ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
・2. 断熱欠損が起きにくい
・3. 壁内結露が起きにくい
・4. 気密性能を高めやすい
・5. 小屋裏や床下を有効活用できる

▼外断熱のデメリット
・1. 費用が高い
・2. 断熱材の厚さが限られる
・3. 壁が厚くなる
・4. 地震などで外壁や断熱材がズレやすい
・5. 複雑な形状は苦手

1つずつ、説明してきます。

外断熱のメリット1. ヒートブリッジ(熱橋)が少ない

1つ目のメリットは、「ヒートブリッジ(熱橋)が少ない」ということです。

「ヒートブリッジ(熱橋)」とは、

建物の内外で柱や梁が熱を伝える現象

のことです。

「熱の橋渡し」をするため、このように呼ばれます。

外張り断熱(外断熱)では、断熱材が「構造体(柱や梁など)の外側」にあり、構造体が外壁と「じかに接していない」ため、ヒートブリッジが起こりにくくなります。

ポラリスハウジングのサイトの外張り断熱

出典:ポラリス・ハウジングサービス

特に、鉄は木の350倍も熱を通しやすいため、鉄骨造では、外張り断熱(外断熱)によってヒートブリッジを少なくすることが重要となります。

外断熱のメリット2. 断熱欠損が起きにくい

2つ目のメリットは、「断熱欠損が起きにくい」ということです。

「断熱欠損」とは、

断熱材が途切れたりすき間ができること

です。

外張り断熱(外断熱)では、

・構造体(柱や梁など)
・配管や配線

の外側に断熱材を貼るため、断熱欠損が起きにくくなります。

また、壁の中の配管や配線の工事がしやすくなるというメリットもあります。

外断熱のメリット3. 壁内結露が起きにくい

3つ目のメリットは、「壁内結露が起きにくい」ということです。

外張り断熱(外断熱)は、

・ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
・断熱欠損が起きにくい

ということに加え、

・樹脂系の断熱材は水蒸気を通しにくい

ということから、「壁内結露(=壁の中で起きる結露)」の恐れが少なくなります。

そのため、木材の構造体(柱や梁など)が傷んだり腐ったりするリスクを減らせます。

外断熱のメリット4. 気密性能を高めやすい

4つ目のメリットは、「気密性能を高めやすい」ということです。

外張り断熱(外断熱)は、

・ボードタイプの断熱材の継ぎ目に気密テープを貼るだけ
・充填断熱(内断熱)で必要な気密シートがいらない
・断熱欠損が起きにくい

といったことから、すき間ができにくい工法になっています。

その結果、気密性能を高めやすくなります。

※ただし、外張り断熱(外断熱)でも気密シートを使う場合もあります。

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外断熱のメリット5. 小屋裏や床下を有効活用できる

5つ目のメリットは、「小屋裏や床下を有効活用できる」ということです。

外張り断熱(外断熱)は、基本的に

・外壁
・屋根
・基礎

を断熱して、家全体をまるごと覆うような形になります。

マグ・イゾベールのサイトの外張り断熱

出典:マグ・イゾベール

そのため、小屋裏(=屋根裏)や床下を「居住スペース」「収納スペース」として利用することができます。

※ここから、外断熱のデメリットについて説明していきます。

外断熱のデメリット1. 費用が高い

1つ目のデメリットは、「費用が高い」ということです。

外張り断熱(外断熱)では、「繊維系断熱材」よりも割高な「樹脂系断熱材」を使うため、全体の費用は高くなってしまいます。

最高の断熱・エコ住宅をつくる方法という本の試算によると、

・充填断熱(内断熱):85万円
・外張り断熱(外断熱):156万円

※40坪程度の住宅で、断熱に必要な部材と作業料のみの試算

となっており、約2倍の価格差になっています。

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外断熱のデメリット2. 断熱材の厚さが限られる

2つ目のデメリットは、「断熱材の厚さが限られる」ということです。

外張り断熱(外断熱)の断熱材の厚さは「50ミリ程度が限界」といわれています。

しかし、例えば「屋根」では、断熱性能の高い硬質ウレタンフォームでも、

・北海道(1・2地域):160ミリ
・それ以外(3〜7地域):115ミリ

の厚さが必要とされており、50ミリの断熱材では断熱性能が不足すると考えられます。

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外断熱のデメリット3. 壁が厚くなる

3つ目のデメリットは、「壁が厚くなる」ということです。

外張り断熱は、充填断熱のように壁の空隙(軸間)を利用して断熱材を施工するのではなく、その外側に断熱材を施工するわけですから、当然、断熱材の厚さの分、壁厚が厚くなってしまいます。そのため、狭い敷地では、室内の面積が確保できない、意匠状の制限が出てしまうなどの負担になるほか、窓枠材などの造作材(建物の主要な骨組み以外の部位に使われる材料のこと)にかかるコストが高くなってしまうなどの問題が生じます。
最高の断熱・エコ住宅をつくる方法

つまり、壁が厚くなることで、

・室内が狭くなる
・デザインの制限が出る
・窓などのコストが高くなる

というデメリットがあるということです。

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外断熱のデメリット4. 地震などで外壁や断熱材がズレやすい

4つ目のデメリットは、「地震などで外壁や断熱材がズレやすい」ということです。

住宅は日々揺れが繰り返され、木材の乾燥収縮、プラスチック系断熱材の劣化などによるビスの緩み、引き抜きなど、さまざまな力がかかってきます。また、支持力のないプラスチック系断熱材を45×18mm程度の木製通気胴縁とビスで押さえ、さらに胴縁に外装をもたせるために、力学的に空洞なプラスチック系断熱材の50mmの部分で長いビスに曲げが発生する可能性が考えられます。防火サイディングなどの乾式工法では、釘頭の部分や継ぎ目のシーリングの損傷が起こります。モルタル塗りなどではひび割れなどが起こります。それらが原因となって、外装にズレや脱落の危険が出てくるのです。
最高の断熱・エコ住宅をつくる方法

外張り断熱(外断熱)は、通常よりも長い専用の釘(ビス)を使って断熱材や外壁を張りつけています。

そのため、

・地震や風などの揺れ
・木材の乾燥収縮
・釘(ビス)の緩み
・断熱材の劣化
・シーリングの損傷
・外壁のひび割れ

などのさまざまな原因によって、外壁や断熱材がずり落ちる危険が出てきます。

特に、地震の際は「大きな引き抜きの力」が働くため、外壁や断熱材に限っていえば「外張り断熱の耐震性は高くない」と言えます。

外断熱のデメリット5. 複雑な形状は苦手

5つ目のデメリットは、「複雑な形状は苦手」ということです。

外張り断熱(外断熱)は、

・断熱欠損が起きにくい
・気密性能を高めやすい

などの理由から、充填断熱(内断熱)に比べて施工が簡単であるとされています。

しかし、

・建物の形が複雑
・屋根の形が複雑
・下屋、出窓、庇が多い

などといった場合は、逆に施工が困難になる可能性があります。

付加断熱(内断熱+外断熱)のメリット・デメリット

がんもっち

付加断熱は「内断熱と外断熱を併用したもの」であるため、「メリット・デメリットが重複」します。

まとめると、下記のとおりです。

メリット デメリット
充填断熱(内断熱) ・費用が安い
・断熱材の厚さをとりやすい
・様々な種類の断熱材を使える
・ヒートブリッジ(熱橋)が多い
・断熱欠損が起きやすい
・壁内結露が起きやすい
・気密性能を高めにくい
・小屋裏や床下の活用が難しい
外張り断熱(外断熱) ・ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
・断熱欠損が起きにくい
・壁内結露が起きにくい
・気密性能を高めやすい
・小屋裏や床下を有効活用できる
・費用が高い
・断熱材の厚さが限られる
・壁が厚くなる
・地震などで外壁や断熱材がズレやすい
・複雑な形状は苦手
付加断熱(内断熱+外断熱) ・断熱材の厚さをとりやすい
・様々な種類の断熱材を使える
・ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
・断熱欠損が起きにくい
・壁内結露が起きにくい
・気密性能を高めやすい
・小屋裏や床下を有効活用できる
・断熱性能を特に高めやすい★
・費用が高い
・壁が厚くなる
・断熱材や外壁がズレる可能性がある
・複雑な形状は苦手
・設計や施工に注意が必要★

この中で、付加断熱に特有のものとして、

・メリット:断熱性能を特に高めやすい
・デメリット:設計や施工に注意が必要

という点が挙げられます。

この2つについて、説明します。

付加断熱のメリット:断熱性能を特に高めやすい

付加断熱に特有のメリットは、「断熱性能を特に高めやすい」ということです。

当然ですが、付加断熱は「内断熱と外断熱を併用している」ため、断熱材を厚くすることができます。

そして、断熱性能は基本的に断熱材の厚さに比例します。

なので、付加断熱は、

・内断熱のみ
・外断熱のみ

の場合に比べて、断熱性能を特に高めやすくなるのです。

これが1番のメリットと言えます。

付加断熱のデメリット:設計や施工に注意が必要

付加断熱に特有のデメリットは、「設計や施工に注意が必要」ということです。

付加断熱で気を付けたい大事なポイントは、真に断熱性能を向上させなければならないという使命感を持って取り組む真面目な造り手と、見た目の数値を上げる為だけに付加断熱を採用する不誠実なハウスメーカーと大きく2つにわけられるということです。両者の施工精度や性能の差は歴然で、後者の場合は、内断熱以上に内部結露や雨漏り・外壁のずれや耐震性の劣化など、様々な問題を引き起こす可能性がございますので、十分な注意が必要であり見極めが大事になってきます。
大東住宅

つまり、業者の中には「付加断熱が得意ではない業者」も混じっているため、

・結露
・雨漏り
・外壁のズレ
・耐震性

などについて、「内断熱や外断熱以上に注意する必要がある」ということです。

ハウスメーカー 工務店
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内断熱・外断熱・付加断熱のコストと価格差

家づくりの予算

「内断熱・外断熱・付加断熱のコストと価格差」は下記のとおりです。

必要部材 充填断熱の仕様と価格 付加断熱の仕様と価格 外張り断熱の仕様と価格
外壁断熱 高性能グラスウール16K100mm厚 390,000円 高性能グラスウール16K100+50mm厚 450,000円 硬質ウレタンフォーム50mm厚 1,000,000円
屋根断熱 高性能グラスウール16K200mm厚 高性能グラスウール16K200mm厚 硬質ウレタンフォーム100mm厚
基礎断熱 押出し法ポリスチレンフォーム3種50mm厚 押出し法ポリスチレンフォーム3種50mm厚 押出し法ポリスチレンフォーム3種50mm厚
防湿気密シート 45,000円 45,000円 45,000円
気密部材 165,000円 165,000円 165,000円
合板・胴縁 - 25,000円 100,000円
人工 250,000円 330,000円 250,000円
合計 850,000円 1,015,000円 1,560,000円

※金額は「最高の断熱・エコ住宅をつくる方法」の著者によるシミュレーション。40坪程度の住宅で、断熱に必要な部材と作業料のみを試算したもの。

付加断熱はコスパが良い

金額のみを単純に比較すれば、

↑安い
・充填断熱(内断熱):85万円
・付加断熱(内断熱+外断熱):101.5万円
・外張り断熱(外断熱):156万円
↓高い

ということになります。

しかし、付加断熱は断熱材が増えた分、他の工法よりも高い断熱性能を手に入れられます。

付加断熱のコストに関しては、断熱材を付加する分だけコストアップすることになります。密度36Kのボード状グラスウール50mm厚を使用すると、外壁部分は材工共で約1千350円/㎡のコストアップ、40坪前後の住宅で40万円のコストアップになります。充填部分も含めると、材工費は約110万円程度です。これは発泡プラスチック系断熱材の外張り断熱(外壁50mm厚・屋根100mm厚)とおよそ同程度のコストです。しかし、同程度のコストで付加部分が増しただけ、外張り断熱よりも高い断熱性能が手に入ります。
最高の断熱・エコ住宅をつくる方法

これを踏まえると、「付加断熱はコスパが良い」とも考えられます。

結局どの断熱工法がいいのか?

インターネットの口コミ

3つの断熱工法を比較すると、下記のようになります。

充填断熱(内断熱) 外張り断熱(外断熱) 付加断熱(内断熱+外断熱)
1.経済性(費用)
2.施工性
3.耐震性(地震)
4.断熱性
5.気密性
6.耐火性(火災)
7.耐久性(結露)
8.防蟻性(シロアリ)
9.防音性

これらについて、1つずつ説明します。

1. 経済性(費用)

金額のみを単純に比較すれば、

↑安い
・充填断熱(内断熱):85万円
・付加断熱(内断熱+外断熱):101.5万円
・外張り断熱(外断熱):156万円
↓高い

ということになります。

※金額は「最高の断熱・エコ住宅をつくる方法」の著者によるシミュレーション。40坪程度の住宅で、断熱に必要な部材と作業料のみを試算したもの。

しかし、付加断熱は他の工法よりも高い断熱性能を手に入れられるため、「コスパが良い」とも考えられます。

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2. 施工性

一般的には、

↑簡単
・外張り断熱(外断熱)
・充填断熱(内断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)
↓難しい

ということになりますが、「外断熱は複雑な形状が苦手」ということも考えると、内断熱との差はあまりないと思います。

3. 耐震性(地震)

地震などの揺れによる「断熱材や外壁のズレやすさ」で言えば、

・外張り断熱(外断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)

は、長い釘(ビス)によって外側に張りつけているため、不安があります。

なお、「家そのものの耐震性」は断熱工法によって変わらないと思います。

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4. 断熱性

断熱材の厚さをとりやすいという点では、

↑断熱性が高い
・付加断熱(内断熱+外断熱)
・充填断熱(内断熱)
・外張り断熱(外断熱)
↓断熱性が低い

となります。

断熱性は断熱材の厚さに比例するからです。

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5. 気密性

すき間を作りにくいという点では、

・外張り断熱(外断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)

が優れています。

ただし、充填断熱(内断熱)でも「高い気密性」を出せる業者もいます。

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6. 耐火性(火災)

燃えやすい「樹脂系断熱材」を使う

・外張り断熱(外断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)

は、耐火性が低いと考えることができます。

しかし、充填断熱(内断熱)でも樹脂系断熱材を使うならば、違いはありません。

なお、樹脂系断熱材でも「フェノールフォーム」は難燃性といわれています。

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7. 耐久性(結露)

工法上は、

・外張り断熱(外断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)

結露しにくいと考えられます。

ただし、正直なところ「施工レベル次第」だと思います。

8. 防蟻性(シロアリ)

一般的に、

・繊維系の断熱材(グラスウールなど):シロアリに強い
・樹脂系の断熱材(ポリスチレンフォームなど):シロアリに弱い

とされているため、「樹脂系の断熱材」を使う

・外張り断熱(外断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)

は、防蟻性が低いと考えられます。

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9. 防音性

一般的に、

・繊維系の断熱材(グラスウールなど):吸音性が高い
・樹脂系の断熱材(ポリスチレンフォームなど):吸音性が低い

とされているため、

・充填断熱(内断熱)
・付加断熱(内断熱+外断熱)

で、「繊維系の断熱材」を使うならば防音性は上がると考えられます。

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【結論】充填断熱(内断熱)か付加断熱がおすすめ

住宅会社の提案

結論としては、「充填断熱(内断熱)か付加断熱がおすすめ」です。

その理由は、外張り断熱(外断熱)では「断熱材の厚さが限られる」からです。

外張り断熱(外断熱)の断熱材の厚さは「50ミリ程度が限界」といわれています。

しかし、例えば「屋根」では、断熱性能の高い硬質ウレタンフォームでも、

・北海道(1・2地域):160ミリ
・それ以外(3〜7地域):115ミリ

の厚さが必要とされており、50ミリの断熱材では断熱性能が不足すると考えられます。

一方、充填断熱(内断熱)や付加断熱であれば、断熱材の厚みをとりやすく、断熱性能を上げやすいといえます。

なお、「断熱性能以外の部分」は、人それぞれだと思います。

温暖な地域なら、充填断熱(内断熱)のみでも十分かもしれません。

また「寒冷地に住んでいる」「省エネ性にこだわりたい」という場合なら、付加断熱が良いかもしれません。

いずれの断熱工法を選ぶにせよ、重要なのは「業者の設計・施工レベル」です。

「失敗しない業者の選び方」については、下記の記事で解説していますので、参考にしてください。

ハウスメーカー 工務店
【ハウスメーカー&工務店】選び方・決め手・探し方のポイント16選

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【まとめ】家づくりで失敗しないために

記事のまとめ

本記事では、「充填断熱・外張り断熱・付加断熱の違い」「メリット・デメリット」などについてお伝えしてきました。

まとめると、下記のとおりです。

・「外断熱」 =「構造体(柱や梁など)の間に断熱材を入れる断熱工法」
・「内断熱」 =「構造体(柱や梁など)の外側に断熱材を貼り付ける断熱工法」
・「付加断熱」=「内断熱と外断熱を両方行う断熱工法」
・断熱性能を考えると付加断熱はコスパが良い
・「外断熱」よりも「内断熱」か「付加断熱」がおすすめ
・どの断熱工法でも「業者の設計・施工レベル」が重要

家づくりで失敗しないためには、これらのポイントに注意しましょう。

また、断熱以外にも「家づくりで大切なポイント」がいくつかあります。

詳しくは、下記の記事を参考にしてください。

ハウスメーカー 工務店
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