こんなお悩みに答えます。
もくじ
こんにちは。家づくりを経験した「とある東北人」です。
家づくりを進めていくと、
外張り断熱(外断熱)
という言葉を耳にすることがあると思います。
特に、「ハウスメーカーの人の話」や「パンフレット」などで、
・家をまるごと包みこむ工法
・高断熱・高気密の家になる
・充填断熱(内断熱)よりも良い
などという形で宣伝されることが多いようです。
しかし、
・どんなハウスメーカーがあるの?
・他の断熱方法との違いは?
・メリットやデメリットは?
と悩む人も少なくないと思います。
私も悩みましたが、家づくりを勉強するにつれて「外張り断熱(外断熱)」がどんなものであるかがわかってきました。
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【家を建てる】家づくりの本&雑誌おすすめ20選【注文住宅の勉強】
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本記事では、そんな私の経験をもとに、「外張り断熱(外断熱)のハウスメーカー」や「メリット・デメリット」などについてお伝えしたいと思います。
外張り断熱(外断熱)のおすすめハウスメーカー
「外張り断熱(外断熱)のおすすめハウスメーカー」は下記のとおりです。
※なお、断熱以外にも「業者選びで大切なポイント」がいくつかあります。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
No. | 業者名 | 「外断熱」の表記など | 参考URL |
---|---|---|---|
1 | アイダ設計 | 外張り断熱/耐震性能/オール電化住宅など充実の設備で理想のマイホームを! | こちら |
2 | アイフルホーム | 壁の内側と外側にダブルで断熱するHQP-W(ダブル断熱) | こちら |
3 | アエラホーム | ダブル断熱(外張り断熱+吹付け断熱) | こちら |
4 | 旭化成ホームズ(ヘーベルハウス) | 壁ヘーベルの内側と鉄骨中の外側との間に高性能断熱材「ネオマフォーム」を張り巡らし、二重の断熱ゾーンで建物を包み込みます | こちら |
5 | イシカワ | 外張付加断熱、内断熱 | こちら |
6 | 一条工務店 | 外内ダブル断熱構法 | こちら |
7 | カネカソーラーサーキットのお家 | 外断熱工法(ソーラーサーキットの家) | こちら |
8 | クレバリーホーム | 外壁に高密度の無機質繊維系断熱材を充填し、外側にはフェノールフォーム断熱材1種2号CⅡを配した2重の断熱構造を採用 | こちら |
9 | 住友不動産 | 内外ダブル断熱 | こちら |
10 | セキスイハイム | ダブルウォールユニット工法 | こちら |
11 | 積水ハウス | ぐるりん断熱 | こちら |
12 | 大共ホーム | 二重断熱工法(外断熱+内断熱) | こちら |
13 | ダイワハウス | ・鉄骨造:外張り断熱通気外壁 ・木造:遮熱外張り断熱工法 |
鉄骨造 木造 |
14 | タマホーム | 結露を防ぐ外張り断熱工法 | こちら |
15 | 土屋ホーム | 外断熱、ダブル断熱 | こちら |
16 | トヨタホーム | ハイブリッド断熱工法 | こちら |
17 | 納得スタイルホーム | 外張り断熱と充填断熱のダブル断熱 | こちら |
18 | パナソニック ホームズ | 木製サッシや樹脂サッシ、充填断熱や外張り断熱、地熱を利用する基礎断熱など立地やご要望に合わせて最適な仕様をご提案します | こちら |
19 | 北洲ハウジング | アルセコ外張り断熱システム | こちら |
20 | ミサワホーム | ハイブリッド住宅(複層断熱構造) | こちら |
21 | 無印良品の家 | ダブル断熱工法 | こちら |
22 | ヤマダホームズ | “外張り断熱”と、外壁パネル内に断熱材を充填する“充填断熱”のダブル断熱(多重断熱構造)を採用 | こちら |
23 | ヤマト住建 | 外張り断熱工法 | こちら |
24 | レオハウス | CoCoWのダブル断熱 | こちら |
※上記は、純粋な「外張り断熱(外断熱)」だけでなく「付加断熱(内断熱+外断熱)」の業者もリストアップしています。これらの違いについては「外張り断熱(外断熱)とは?」で説明しています。
外張り断熱(外断熱)とは?
出典:マグ・イゾベール
そもそも「外張り断熱(外断熱)」とは、どういったものでしょうか?
それを理解するためには、
・1. 充填断熱(内断熱)
・2. 外張り断熱(外断熱)
・3. 付加断熱(内断熱+外断熱)
という「3つの断熱方法」の違いを知る必要があります。
これらについて、1つずつ説明します。
1. 充填断熱(内断熱)とは?
出典:旭化成建材
「充填断熱(内断熱)」とは、
構造体(柱や梁など)の間に断熱材を入れる断熱工法
のことをいいます。
最も一般的な断熱工法であり、木造住宅で広く用いられています。
出典:マグ・イゾベール
断熱する場所は、
・外壁
・1階の床
・天井(または屋根)
が基本であり、基礎などはそのままです。
※ただし、充填断熱(内断熱)でも基礎を断熱する場合があります。
使用する断熱材には、
・グラスウール
・ロックウール
・ウレタンフォーム
・フェノールフォーム
・セルロースファイバー
など、いろいろな素材の断熱材があり、
・繊維タイプ
・ボードタイプ
・吹き付けタイプ
など、断熱材のタイプもさまざまです。
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2. 外張り断熱(外断熱)とは?
出典:旭化成建材
「外張り断熱(外断熱)」とは、
構造体(柱や梁など)の外側に断熱材を貼り付ける断熱工法
のことをいいます。
この工法は鉄骨造の断熱に有効なのですが、木造でも採用されています。
出典:マグ・イゾベール
断熱する場所は、
・外壁
・屋根
・基礎
が基本であり、家全体をまるごと覆うような形になります。
※ただし、外壁だけ外張り断熱(外断熱)で、それ以外を充填断熱(内断熱)にするという場合もあります。
使用する断熱材には、
・ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
・押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
・ウレタンフォーム
・フェノールフォーム
など、主に「樹脂系」で「ボードタイプ」の断熱材が選ばれます。
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3. 付加断熱(内断熱+外断熱)とは?
出典:マグ・イゾベール
「付加断熱」とは、
「充填断熱(内断熱)」と「外張り断熱(外断熱)」を両方行う断熱工法
のことをいいます。
付加断熱工法は、寒冷地でより良い断熱性能を得るために、一部の業者の間で行われていました。
しかし、温暖な地域でも「省エネルギー性」や「環境への配慮」といったニーズが高まっていることから、最近では様々な業者で採用されています。
なお、
・W断熱
・ダブル断熱
・内外ダブル断熱
・ハイブリッド工法
など、業者によってさまざまな呼び方があるようです。
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【付加断熱】外断熱と内断熱を併用するメリット・デメリットを解説
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外張り断熱工法のメリット
「外張り断熱工法のメリット」は、下記の5つです。
・1. ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
・2. 断熱欠損が起きにくい
・3. 壁内結露が起きにくい
・4. 気密性能を高めやすい
・5. 小屋裏や床下を有効活用できる
それぞれ、説明します。
1. ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
1つ目のメリットは、「ヒートブリッジ(熱橋)が少ない」ということです。
「ヒートブリッジ(熱橋)」とは、
建物の内外で柱や梁が熱を伝える現象
のことです。
「熱の橋渡し」をするため、このように呼ばれます。
充填断熱(内断熱)では、断熱材が「構造体(柱や梁など)の間」に入っており、構造体が内壁と外壁に「じかに接している」ため、ヒートブリッジが起きやすくなっています。
一方、外張り断熱(外断熱)では、断熱材が「構造体(柱や梁など)の外側」にあり、構造体が外壁と「じかに接していない」ため、ヒートブリッジが起こりにくくなるのです。
特に、鉄は木の350倍も熱を通しやすいため、鉄骨造では、外張り断熱(外断熱)によってヒートブリッジを少なくすることが重要となります。
2. 断熱欠損が起きにくい
2つ目のメリットは、「断熱欠損が起きにくい」ということです。
「断熱欠損」とは、
断熱材が途切れたりすき間ができること
です。
充填断熱(内断熱)では、
・構造体(柱や梁など)と断熱材の間
・配管や配線と断熱材の間
などで断熱欠損が起きやすくなります。
こうなると、断熱性能は大きく下がってしまいます。
一方、外張り断熱(外断熱)では、
・構造体(柱や梁など)
・配管や配線
の外側に断熱材を貼るため、断熱欠損が起きにくくなります。
また、壁の中の配管や配線の工事がしやすくなるというメリットもあります。
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3. 壁内結露が起きにくい
3つ目のメリットは、「壁内結露が起きにくい」ということです。
外張り断熱(外断熱)は、
・ヒートブリッジ(熱橋)が少ない
・断熱欠損が起きにくい
ということに加え、
・樹脂系の断熱材は水蒸気を通しにくい
ということから、「壁内結露(=壁の中で起きる結露)」の恐れが少なくなります。
そのため、木材の構造体(柱や梁など)が傷んだり腐ったりするリスクを減らせます。
4. 気密性能を高めやすい
4つ目のメリットは、「気密性能を高めやすい」ということです。
外張り断熱(外断熱)は、
・ボードタイプの断熱材の継ぎ目に気密テープを貼るだけ
・充填断熱(内断熱)で必要な気密シートがいらない
・断熱欠損が起きにくい
といったことから、すき間ができにくい工法になっています。
その結果、気密性能を高めやすくなります。
※ただし、外張り断熱(外断熱)でも気密シートを使う場合もあります。
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5. 小屋裏や床下を有効活用できる
5つ目のメリットは、「小屋裏や床下を有効活用できる」ということです。
外張り断熱(外断熱)は、基本的に
・外壁
・屋根
・基礎
を断熱して、家全体をまるごと覆うような形になります。
出典:マグ・イゾベール
そのため、小屋裏(=屋根裏)や床下を「居住スペース」や「収納スペース」として利用することができます。
外張り断熱工法のデメリット
「外張り断熱工法のデメリット」は、下記の5つです。
1. 費用が高い
2. 断熱材の厚さが限られる
3. 壁が厚くなる
4. 地震などで外壁や断熱材がズレやすい
5. 複雑な形状は苦手
それぞれ、説明します。
1. 費用が高い
1つ目のデメリットは、「費用が高い」ということです。
外張り断熱(外断熱)では、「繊維系断熱材」よりも割高な「樹脂系断熱材」を使うため、全体の費用は高くなってしまいます。
「最高の断熱・エコ住宅をつくる方法」という本の試算によると、
・充填断熱(内断熱):85万円
・外張り断熱(外断熱):156万円
※40坪程度の住宅で、断熱に必要な部材と作業料のみの試算
となっており、約2倍の価格差になっています。
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2. 断熱材の厚さが限られる
2つ目のデメリットは、「断熱材の厚さが限られる」ということです。
外張り断熱(外断熱)の断熱材の厚さは「50ミリ程度が限界」といわれています。
しかし、例えば「屋根」では、断熱性能の高い硬質ウレタンフォームでも、
・北海道(1・2地域):160ミリ
・それ以外(3〜7地域):115ミリ
の厚さが必要とされており、50ミリの断熱材では断熱性能が不足すると考えられます。
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3. 壁が厚くなる
3つ目のデメリットは、「壁が厚くなる」ということです。
外張り断熱は、充填断熱のように壁の空隙(軸間)を利用して断熱材を施工するのではなく、その外側に断熱材を施工するわけですから、当然、断熱材の厚さの分、壁厚が厚くなってしまいます。そのため、狭い敷地では、室内の面積が確保できない、意匠状の制限が出てしまうなどの負担になるほか、窓枠材などの造作材(建物の主要な骨組み以外の部位に使われる材料のこと)にかかるコストが高くなってしまうなどの問題が生じます。
最高の断熱・エコ住宅をつくる方法
つまり、壁が厚くなることで、
・室内が狭くなる
・デザインの制限が出る
・窓などのコストが高くなる
というデメリットがあるということです。
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4. 地震などで外壁や断熱材がズレやすい
4つ目のデメリットは、「地震などで外壁や断熱材がズレやすい」ということです。
住宅は日々揺れが繰り返され、木材の乾燥収縮、プラスチック系断熱材の劣化などによるビスの緩み、引き抜きなど、さまざまな力がかかってきます。また、支持力のないプラスチック系断熱材を45×18mm程度の木製通気胴縁とビスで押さえ、さらに胴縁に外装をもたせるために、力学的に空洞なプラスチック系断熱材の50mmの部分で長いビスに曲げが発生する可能性が考えられます。防火サイディングなどの乾式工法では、釘頭の部分や継ぎ目のシーリングの損傷が起こります。モルタル塗りなどではひび割れなどが起こります。それらが原因となって、外装にズレや脱落の危険が出てくるのです。
最高の断熱・エコ住宅をつくる方法
外張り断熱(外断熱)は、通常よりも長い専用の釘(ビス)を使って断熱材や外壁を張りつけています。
そのため、
・地震や風などの揺れ
・木材の乾燥収縮
・釘(ビス)の緩み
・断熱材の劣化
・シーリングの損傷
・外壁のひび割れ
などのさまざまな原因によって、外壁や断熱材がずり落ちる危険が出てきます。
特に、地震の際は「大きな引き抜きの力」が働くため、外壁や断熱材に限っていえば「外張り断熱の耐震性は高くない」と言えます。
5. 複雑な形状は苦手
5つ目のデメリットは、「複雑な形状は苦手」ということです。
外張り断熱(外断熱)は、
・断熱欠損が起きにくい
・気密性能を高めやすい
などの理由から、充填断熱(内断熱)に比べて施工が簡単であるとされています。
しかし、
・建物の形が複雑
・屋根の形が複雑
・下屋、出窓、庇が多い
などといった場合は、逆に施工が困難になる可能性があります。
外張り断熱はおすすめか?
「外張り断熱(外断熱)」と「充填断熱(内断熱)」を比較すると、下記のようになります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
外張り断熱(外断熱) | ・ヒートブリッジ(熱橋)が少ない ・断熱欠損が起きにくい ・壁内結露が起きにくい ・気密性能を高めやすい ・小屋裏や床下を有効活用できる |
・費用が高い ・断熱材の厚さが限られる ・壁が厚くなる ・地震などで外壁や断熱材がズレやすい ・複雑な形状は苦手 |
充填断熱(内断熱) | ・費用が安い ・断熱材の厚さをとりやすい ・様々な種類の断熱材を使える |
・ヒートブリッジ(熱橋)が多い ・断熱欠損が起きやすい ・壁内結露が起きやすい ・気密性能を高めにくい ・小屋裏や床下の活用が難しい |
これを踏まえて、外張り断熱は「おすすめ」といえるのでしょうか?
【結論】充填断熱(内断熱)か付加断熱がおすすめ
結論としては、「充填断熱(内断熱)か付加断熱がおすすめ」です。
その理由は、外張り断熱(外断熱)では「断熱材の厚さが限られる」からです。
外張り断熱(外断熱)の断熱材の厚さは「50ミリ程度が限界」といわれています。
しかし、例えば「屋根」では、断熱性能の高い硬質ウレタンフォームでも、
・北海道(1・2地域):160ミリ
・それ以外(3〜7地域):115ミリ
の厚さが必要とされており、50ミリの断熱材では断熱性能が不足すると考えられます。
一方、充填断熱(内断熱)であれば、断熱材の厚みをとりやすく、断熱性能を上げやすいといえます。
それでも、充填断熱(内断熱)のデメリットである、
・ヒートブリッジ(熱橋)が多い
・断熱欠損が起きやすい
・壁内結露が起きやすい
・気密性能を高めにくい
・小屋裏や床下の活用が難しい
といったことが気になる人は、付加断熱(内断熱+外断熱)を選ぶのも手です。
本記事の最初でご紹介した「外張り断熱(外断熱)のおすすめハウスメーカー」には、付加断熱(内断熱+外断熱)の業者が多く含まれています。
なお、断熱性能の高い業者を選ぶ際には、下記の記事も参考にしてみてください。
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【ハウスメーカーの断熱性能】Q値・UA値ランキング【75社比較】
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【気密性能が高いハウスメーカー】37社の比較・ランキング【C値】
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【まとめ】ハウスメーカー(工務店)選びで失敗しないために
本記事では、「外張り断熱(外断熱)のハウスメーカー」や「メリット・デメリット」などについてお伝えしてきました。
まとめると、下記のとおりです。
・「外断熱」 =「構造体(柱や梁など)の間に断熱材を入れる断熱工法」
・「内断熱」 =「構造体(柱や梁など)の外側に断熱材を貼り付ける断熱工法」
・「付加断熱」=「内断熱と外断熱を両方行う断熱工法」
・「外断熱のみ」よりも「内断熱」か「付加断熱」がおすすめ
業者選びで失敗しないためには、これらのポイントに注意しましょう。
また、断熱以外にも「業者選びで大切なポイント」がいくつかあります。
詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
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