こんなお悩みに答えます。
こんにちは。家づくりを経験した「とある東北人」です。
住宅性能の評価について、
・評価書と証明書の違いは?
・基準や等級について知りたい
・書類の取得方法や費用って?
・そもそも必要なの?メリットは?
と悩む人も少なくないでしょう。
本記事では、そんな人に役立つ「住宅性能の評価」について、わかりやすく解説したいと思います。
【住宅性能】表示制度・評価書・証明書とは?
まず、住宅性能の評価に関する、
・1.住宅性能表示制度
・2.住宅性能評価書
・3.住宅性能証明書
の3つについて、それぞれの違いを説明します。
1.住宅性能表示制度とは
国土交通省のサイトでは、下記のような説明があります。
新築住宅の住宅性能表示制度とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の規定により、住宅の基本的な性能について、
・共通のルール(国が定める日本住宅性能表示基準・評価方法基準)に基づき、
・公正中立な第三者機関(登録住宅性能評価機関)が
・設計図書の審査や施工現場の検査を経て等級などで評価し、
・建設住宅性能評価書が交付された住宅については、迅速に専門的な紛争処理が受けられる
平成12年度から運用が実施された任意の制度である。
つまり、わかりやすく言えば「住宅性能表示制度」とは、
・国が定めたルールに沿って
・中立的な第三者の専門家が
・設計図や工事現場の検査を行い
・住宅の性能を等級などで評価する
・任意の(してもしなくてもよい)
制度ということです。
2.住宅性能評価書とは
(社)住宅性能評価・表示協会のサイトでは、下記のような説明があります。
国土交通大臣に登録された登録住宅性能評価機関は、申請に基づき、国が定めた技術基準に従ってあなたの住宅の性能評価を行い、その結果を住宅性能評価書として交付します。
また、(財)住宅金融普及協会のサイトでは、下記のような説明があります。
国土交通大臣に登録した第三者評価機関が全国共通ルールのもと、住宅の性能を公平な立場で評価し、その結果を表示した書面です。(中略)住宅の性能については、10の分野を、等級や数値などで表示しています。
つまり「住宅性能評価書」とは、
・国が定めたルールに沿って
・中立的な第三者の専門家が
・住宅の性能(10の分野)を
・等級や数値などで評価した
書類のことです。
「住宅性能表示制度」という「制度」を利用した結果、入手できる「書類」とも言えます。
3.住宅性能証明書とは
ホームズのサイトでは、下記のような説明があります。
住宅性能証明書は、住宅性能評価における評価項目の一部となり、(中略)耐震性と省エネルギー性、バリアフリー性の3つのみを抜き出して評価・発行するものとなります。評価する部分が一部だけとなるので、住宅性能証明書のみを発行するほうが費用は安く済みます。
また、(株)住宅あんしん保証のサイトでは、下記のような説明があります。
「住宅性能証明(贈与税)」とは、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置において、非課税限度額加算の対象となる「質の高い住宅」であることを証明する書類の1つで、書類審査及び現場検査を行い、「住宅性能証明書」を交付します。
つまり「住宅性能証明書」は、
・3つの性能のみを評価する
・入手するための費用が安い
・贈与税の優遇などが目的
という書類であり、これらの点で「住宅性能評価書」と異なっています。
【住宅性能】評価の基準・項目・等級の一覧
住宅性能評価の項目や基準、等級は下記のとおりです。
等級は、数値が高いほど高評価となります。
なお、★マークは必須項目であり、それ以外の項目は任意です。
No. | 項目 | 評価基準・等級 |
1 | 構造の安定(★) | ・耐震性→等級1〜3 ・風や積雪への強さ→等級1〜2 ・地盤や基礎の強さ→具体的な数値など |
2 | 火災時の安全 | ・感知警報装置の設置→等級1〜4 ・外壁や窓の耐火性→等級1〜4 ・避難や脱出の対策→具体的な内容 |
3 | 劣化の軽減(★) | ・柱や土台の耐久性→等級1〜3 |
4 | 維持管理への配慮(★) | ・配管の清掃や修理のしやすさ→等級1〜3 |
5 | 温熱環境 | ・外壁や窓などの断熱性能→等級1〜4 ・エネルギー消費量(省エネ性)→等級1〜5 |
6 | 空気環境 | ・ホルムアルデヒド対策→等級1〜3 ・換気対策や化学物質の濃度→具体的な調査結果 |
7 | 光・視環境 | ・窓の大きさ(明るさ)→具体的な数値 |
8 | 音環境 | ・窓の遮音性能→等級1〜4 ・床や壁の遮音性能(共同住宅)→等級1〜5 |
9 | 高齢者等への配慮 | ・段差や手すり等のバリアフリー性→等級1〜5 |
10 | 防犯 | ・ドアや窓の侵入防止対策→具体的な調査結果 |
【住宅性能】評価書・証明書の取得方法と費用
住宅性能評価書や証明書を取得するにあたり、
・1.取得するための方法
・2.取得するための費用
について、それぞれ解説します。
1.住宅性能評価書・証明書の取得方法
基本的に、ハウスメーカーや工務店にお願いするだけでOKです。
すると、施主に代わって、最寄りの評価機関に申請してくれます。
一方で、施主が直接申請することも可能なのですが、
・設計図等の書類を揃える必要がある
・必要書類の記入や手続きなどが面倒
であるため、あまりおすすめしません。
なお、各地域の評価機関は、下記のサイトから検索できます。
▼登録住宅性能評価機関の検索
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/kikan/hyouka_search.php
▼「住宅性能証明書」等の発行業務会員機関リスト
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/zouyo/02.html
2.住宅性能評価書・証明書の費用
費用については、評価機関ごとに微妙に異なっていますが、
・住宅性能評価書:約10〜20万円
・住宅性能証明書:約5〜10万円
というのが相場のようです。
なお、費用が異なっても、評価の方法や性能の表示は法律により共通に定められているので、内容としては同じです。
【住宅性能】評価は必要か?メリットは?
住宅性能評価書(or証明書)を取得する必要性がある人は、下記の5つです。
・1.優遇措置や補助金等を受けたい人
・2.建築トラブルに保険をかけたい人
・3.住宅の性能を客観的に知りたい人
・4.第三者によるチェックを受けたい人
・5.住宅の資産価値を高めたい人
これらについて、1つずつ説明します。
1.優遇措置や補助金等を受けたい人
1つ目は「優遇措置や補助金等を受けたい人」です。
具体的には、
・贈与税の非課税枠の拡大
・住宅ローンの金利引下げ
・地震保険料の割り引き
・給付金、補助金など
といったことです。
これらの申請には、住宅性能評価書(or証明書)が必要になるからです。
書類の取得費用を払う以上に、受けられる金銭的リターンが大きい人は、メリットと言えるでしょう。
2.建築トラブルに保険をかけたい人
2つ目は「建築トラブルに保険をかけたい人」です。
(社)住宅性能評価・表示協会のサイトには、以下のような説明があります。
建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に紛争処理を申請することができます。(中略)建設住宅性能評価書が交付された住宅の紛争であれば、評価書の内容だけでなく、請負契約・売買契約に関する当事者間の全ての紛争の処理を扱います。紛争処理の手数料は1件あたり1万円です。
つまり、住宅性能評価書を取得すれば、
・業者とトラブルになった場合に
・性能に限らず契約全般を含めて
・1万円で弁護士に依頼できる
ということです。
評価書の取得費用はかかりますが、建築トラブルに対する保険料と考える人にとってはメリットと言えるでしょう。
3.住宅の性能を客観的に知りたい人
3つ目は「住宅の性能を客観的に知りたい人」です。
例えば、ハウスメーカーの営業マンなどが、
・当社の家は耐震等級3(相当)です
・他社に比べて断熱性が高いです
などと言ってきたとしても、その根拠はあいまいです。
一方、住宅性能評価書を取得すれば、客観的な証明になり、比較も可能です。
また、基準をクリアするような設計および施工が求められるため、一定の性能レベルを実現することができるでしょう。
性能の高い住宅を建てたいという人にとっては、メリットがあると思います。
4.第三者によるチェックを受けたい人
4つ目は「第三者によるチェックを受けたい人」です。
建設住宅性能評価書の取得においては、
・希望するレベルの性能で設計されているか?
・その設計どおりにしっかり施工されているか?
ということを第三者の専門家に検査してもらえます。
そのため、施工ミスや欠陥をある程度は防げるというメリットがあります。
ただし、検査の対象は性能評価に関係する部分だけなので、それ以外も含めて広くカバーできない点に注意が必要です。
5.住宅の資産価値を高めたい人
5つ目は「住宅の資産価値を高めたい人」です。
住宅性能評価書を取得すれば、「質の高い家」であるという客観的な証明になります。
そのため、家を売却するときに相場より高くなる可能性があります。
将来的に、そうした状況が想定される人にとってはメリットになるでしょう。
ただし、家の経年劣化やメンテナンス等によっても資産価値は変わるため、注意が必要です。